面倒なところが多い民主主義―民主政治の危機、その脆弱さについて考える―Ⅰ
かつてこのブログで「民主主義」について書いたことがあったなあ、と思って検索してみると2013年に書いていた。
もっと最近だったのではないか、と思っていたが、もう5年も前のことになる。
そのブログでは、最後をこんな風に結んでいた。
―「民主主義」は民主主義と言いながら、実は世代主義であったり、業界主義であったり、地域主義になりがちである。
己の所属する世界を有利に導こうとする勢力に引っ張られる傾向の強い、面倒なところの多い制度なのだ。
民主主義の対極にあるのが独裁主義であろう。
独裁主義は個人の独裁であったり、一族独裁であったり、一党独裁であったり様々である。
面倒なところの多い民主主義であるが、それでも独裁主義よりははるかにましである。
ただ、民主主義はものごとを正しい方向へ軌道修正するのに時間のかかる、途中のステップや手続きの多い煩雑な制度なのだ。
その煩雑さを嫌うのが原因なのか、選挙における投票率の低さがいつも問題にされる。
中でも若い世代の投票率が低い。
民主主義に於いては、政治家は票がより多く取れる方になびく傾向がある。
若い人の投票率が低く、高齢者のそれを下回るようであれば、自分たちの思うような世の中にはなかなかならないだろう。―
これを書いてから5年も経っているとは思わなかった。
「民主主義」について書いたことは記憶にあったので、もっと最近のことかと思っていたのである。
ということは、この国は5年間あまり変わらなかったことになる。
今でも、私にとって、上記のような感想はさほど変わらないからである。
そんなことを思っていたら、先日、読売新聞のコラム「地球を読む」(このブログで度々取り上げさせてもらっていますが)で、慶応大学教授細谷雄一氏が、やはり民主主義について「民主政の危機」というタイトルで、世界の民主主義の危機的状況について書いておられた。
この内容を取り上げて私なりの感想を書いてみようと思う。
つづく