未来へと繫がるストーリーの発見とその発信―それは未来に繫がっているか?情報発信は過去の報告ではない―Ⅱ

経営者の「情報発信」には何が必要なのか? 一番肝心なことはいったい何なのか?・・・

 

そのリトマス試験紙、というか判定基準は「未来に繫がっているか?」ということになります。

私がお勧めする「情報発信」は、単なる報告作業ではないのです。

 

例えば私は、自分が経営している会計事務所で定期的に「会計ニュース」といったものを配信しています。

これは猫の目のように変わる会計のルールや制度、その処理方法などをタイムリーに顧客にお知らせしようというものです。

 

内容としては、考えて書くというよりは、いち早く業界で配信される最新情報を取捨選択してほぼそのままお知らせする、ということになります。

多少、わかりやすくするためにリライトなどもしますが、どちらかといえばスピード、つまり適宜制の方を優先します。

 

この作業は、事務所の若手社員に任せています。

私がやる必要のない仕事ですし、若手のいい勉強にもなるからです。

 

情報の賞味期限も短く、次の制度改正といったことがあれば単なる旧いデータにすぎなくなります。

これなどは緊急性があり大事な情報ではあるけれども、トップがやる必要のない「情報発信」と言えるでしょう。

 

経営者が心掛けるべき「情報発信」は、過去から現在に承継され、やがて未来へと繫がるストーリーの発見とその発信です。

こんな言い方をすると難しく捉えられそうですが、そんなことはありません。

 

例えば、会社の歴史上過去のある時期に決められ、今も伝わっている「経営理念」のようなものがあったとしましょう。

それについて書こうとするとき、その理念が何故現在も生き続けているのか、それは未来へ向かって生き続けられるものなのか、といった再考や検証は、過去から現在、未来をも含んだ重要な確認作業です。

これは、経営者にしかできない仕事なのです。

 

 

つづく