しょうもない「補助金」が事業を潰す―地方におけるこの閉塞感はいったいどこからくるのか―Ⅳ
木下氏が指摘する成功者を失敗へと誘導する典型的なやり方とはどんなものなのでしょうか。
それには「3つの方法」があるということで、次のような事例をあげておられます。
― 挑戦者や成功者を潰す「3つの方法」とは?
では、どうやってそうした成功者を潰しにかかるのか。
やり方はそれこそ多種多様ですが、ここでは典型的な3つの方法について触れたいと思います。
(1)事業に予算をいれて潰す
地域で成果を収めた事業は、思いのある数名の有志でお金を出し合い、小さく始めたものが多くあります。(中略)
全国各地で見られる「飲食店の食べ歩き企画」などもこのパターンに入ります。
当初は有志の良いお店だけで企画していたのに、成功した後、成果を手にしたい行政側の思惑や成功を妬んでいる店などが絡み、施策化して補助金などが投入されるようになります。
すると「税金を使うのだから一部店舗だけでは駄目だ!」といって、「しょうもない店」もこうした企画に入れるようになります。
しかし、予算を入れてタダで参加する店などが増加して発展するかといえば、逆に参加者の満足度が低下していき、使う側にも敏感にその雰囲気が伝わります。
結果として企画そのものが陳腐化し、破綻します。―
なるほど、これを読んでいると、行政が絡むとロクなことにならない、ということがよくわかります。
日本には「悪平等」という悪習が昔からあります。
「誰か特定の人間だけが得するのは許されない。」という。
しかし、アイデアやスピードが重視される今の時代、他者に先んじてそれを実践した者だけが成果を手にするのは当たり前のことです。
ところが、行政やそれを利用することだけには長けている他者が入ると、上記のようにロクな結果にならないのです。
そもそも行政が絡んだ場合、ほぼ「補助金をつける」という方法論しか思いつきません。
私は、この「補助金」というのが長期的にいい結果を生んだのを見たことがないのです。
つづく