自ら絞り出す出すべき知恵やアイデアが決定的に不足している―地方におけるこの閉塞感はいったいどこからくるのか―Ⅴ
挑戦者や成功者を潰す「3つの方法」の2番目には、さらにたちの悪い横槍の入れ方が紹介されています。
―(2)事業を横取りして奪って潰す
2つ目は事業の横取りです。
たとえば、とある地域の生産者が商品開発や営業で血のにじむような努力をして地元産の良質な農産物などを使った新商品を大ヒットさせました。
そうすると
「あなたのところも組合に属しているのだから」
となどといって生産者組合の共同事業にし、さらには
「地域を挙げての行政事業にする」
といって、地域ブランド認定して事実上横取りしてしまいました。
血のにじむ努力をした「最初の開拓者たち」は、耐える場合もありますが、こうしたことは本質的に許せるわけがありません。
意を決したように組合を通さずに出荷する、などとなったりするわけですが、そうすると今度は地元で嫌がらせを受けるなど、あからさまな営業妨害を受けるケースもあります。
さらに、道の駅などの公共施設運営事業などの官民連携事業であれば、集客などで成果をあげた途端に
「あの事業者ばかりが運営するのは公平性に欠ける」
などとイチャモンをつける人々が出てきます。
その結果、運営主体が、地元で政治力のあるまったく別のグループへと鞍替えになり、施設自体を実質的に乗っ取るような事例も地方では出ています。
とはいえ、乗っ取り、鞍替えをさせて人気が維持できるかといえば、当然ながらそんなことはありません。
実力がない人々がやると、すぐに人気がなくなり、経営が行き詰まります。―
こういった事例を目にしていますと暗澹たる気持ちになります。
地方における「妬み社会」の暗部を「これでもか!」と見せつけられるからです。
この事例からもわかるのは、つくづく地方には知恵やアイデアが不足しているなあ・・ということです。
自分で考えられないから、他人のものを横取りする、というやり方しか思いつかない。
しかもその「横取り」の仕方にだけは長けている、というまさに「盗人猛々しい事態」が起きていることになります。
つづく