マーケティングの醍醐味は『市場ウォンツ』を発見すること―ロジカルシンキングも限界、クリエイティブな思考がものをいう時代―Ⅴ
先行きの見えない時代、ロジカルシンキングをもってしても対応することは難しいとすれば、一体どうしたらいいのでしょうか。
この課題に対して筆者は次のように述べています。
― これに対して「デザイン思考」とは決まった課題を解くのではなく、解くべき解を探す力を養うことに重点を置くものだ。
時代の変化が速く、何が売れるかも分からない時代は、「潜在的なニーズ」を探し出すことの方が重要だろう。―
さて、ここには極めて重要なことが書かれています。
それは「潜在的なニーズ」という言葉です。
私はかつて
「マーケティングの醍醐味は、すでに顕在化している市場ニーズを追いかけることではない。まだ表に表れていない潜在的なニーズ、即ち『市場ウォンツ』を追求し発見することである。」
と、書いたことがあります。
この説は、出版した書籍の中でも展開し詳しく述べています。
すでに顕在化している市場ニーズを追いかけるのは、この筆者のいう
「ある程度「正解」が見えている領域で最適解を見出す分析的アプローチ」
に似ています。
このアプローチの仕方では、「潜在的なニーズ」を探し出すのは難しいと言えるでしょう。
私の言うところの『ウォンツ』は、分析的なアプローチで探し出すのは困難だからです。
この領域を「発見」するのはいわゆる「天才」の役割とも言えます。
一般人が思いつきもしないような閃きや発想で時代を牽引してきたのが、「天才」の役割でした。
ビル・ゲイツにしてしかりスティーブ・ジョブズしてしかりです。
彼らの登場は当初早すぎたために、一部の人にしか理解されず、苦悩の時代も過ごしていますが、二人ともやがて彼らに時代が追いついて、信じがたいほどの成功を手にしています。
こういった天才の登場を常に待たなければ、時代は変わっていかないのでしょうか。
つづく