「デザイン思考」をビジネスマンが重視している―ロジカルシンキングも限界、クリエイティブな思考がものをいう時代―Ⅳ
さて、PDCAサイクルについて、様々な角度から分析や批判を展開してきたわけですが、これに対抗できる考え方や手法といったものはないのでしょうか。
その点についてこの筆者は「デザイン思考」という言葉を用いて、下記のように解説しています。
― この「PDCAサイクル思考」と対極にあるのが、「デザイン思考」だ。
端的に言えば、デザイナーの発想である。
シリコンバレーや深センでは、この「デザイン思考」をビジネスマンが重視しているように思えた。
「機能性だけなく見た感じ」、「製品がもつストーリー性」、「個別機能よりも製品群全体での調和」、「論理ではなく共感」、「まじめさだけではなく遊び心」、「モノよりもモノをもつことの意義」といったコンセプトから「デザイン思考」は成り立っていると言われる。―
こう書かれただけではまだピンときませんが、なんとなくその志向する方向性についてはわかるような気がします。
特に、「機能性だけなく見た感じ」、「製品がもつストーリー性」といった言葉には、論理性や合理性だけでは解決できない領域の仕事の組み立て方が見て取れます。
また「論理ではなく共感」、「まじめさだけではなく遊び心」といった切り口にも、これまでになかったコンセプトの方向性を見るような気がします。
特に「デザイン思考」と「遊び心」との間には、切っても切れない関係性があるといっていいでしょう。
この点について筆者は次のように話を進めています。
― 世界のビジネスマンは、MBAでロジカルシンキングなどを学んできたが、これはある程度「正解」が見えている領域で最適解を見出す分析的アプローチ。
「PDCAサイクル思考」も同様のことが言える。―
ここでも、「正解」なき世界について触れられています。
ビジネス上の「正解」というものがあるならば、現代のビジネスパーソンもここまで苦労はしないのでしょうが、先行きの見えない世界はロジカルシンキングをもってしても対応することは難しいのです。
つづく