大切な判断ほど損得に依拠してはならない―社長に不可欠な重要テーマ・・情報処理の判断基準―Ⅴ(おしまい)

こういったバイアスのかかった情報というものには、すべて共通点があります。

それは、その情報を取り入れるかどうかに際して、そのほとんどが「損得」の判断基準を要求しているということです。

 

「損得」というのは、人間の最も低い価値判断の基準にもかかわらず、最も影響を受けやすい基準でもあるのです。

私はそこに、重要な判断の多くを依拠すべきではない、と考える人間の一人です。

 

「損得で判断して何が悪いんだ!」

というご意見もあるでしょう。

事業をやっていれば、多くの場面で「損得」を判断基準にして決済を下さなければならないことも事実です。

 

しかしながら、事業の本質に照らし合わせたとき、いつもいつも損得だけを基準に判断した結果は、その場限りの短期的な得はあるものの、長い目で見ればマイナスになっていることも多々あるはずです。

つまり、「情報」というのは、事業を推進する上で、非常に大切なソースではあるものの、それ自体は未加工の生ものであるということです。

 

したがって、それを自らの事業にとって本当に役に立つものにするためには、高度な判断と処理が大切なのです。

短絡的に飛びついて、半なまのまま飲み込んでいいものでは決してありません。

 

特に経営者であれば、一見おいしそうに見える「情報」ほど疑ってかかるべきです。

そういった判断力をつけるためにも、普段から常に「考える」という習慣を自らに課してください。

また、価値判断の基準が大きく「損得」に偏らないよう、身を律していただきたいと思っています。

 

 

おしまい