時代に合った税理士事務所のあり方とは?―税理士としての私のスタンス― Ⅳ

おそらく「自分がやって来たようにやればいいんだ。」としか思っていなかったであろう父。

 

ただ、私には父のやり方を踏襲するつもりは微塵もなく、時代に合った事務所のあり方を追求し、早くその形に持って行かなければ、と常に考えていました。

これは、論理的というよりは、時代に対する私の直観みたいなものだったのです。

 

ですから、本質的には父のやり方を否定するとかどうの、という気もそれほどあった訳ではなく、新しい形が必要なのだからそこへもって行くだけのこと、と、ある意味冷静に考えていたのです。

つまり、古いやり方に対しては、学ぼうという気もなければ関心もなかったことになります。

 

しかしながら、そう思われた父の方は穏やかではありません。

明らかに自分のやり方を否定している、と思ったのでしょう。

 

今思えば、当然といえば当然の成行きなのでしょうが、1年2年と経つうちに父と私は、激しくぶつかるようになったのです。

私は、このまま父の事務所に所属しながら、自分の思う事務所経営をすることは難しいと自覚せざるを得ませんでした。

ただ、この辺りのいきさつも、今回の本筋ではありませんので、簡単に述べるにとどめます。

 

結果的に私は父の事務所を出て、隣り町で開業していて亡くなった先生の代わりに、私が所長税理士としてその事務所に入ることになりました。

つまり、父とは別に、私自身の事務所を持つことになったのです。

 

父の事務所の半分くらいの小さな事務所でしたが、ここから初めて、私の思う税理士のスタンスを取ることができるようになったのです。

 

 

つづく