まずどういう方向へもって行ったらいいのか?―税理士としての私のスタンス― Ⅲ
テクノロジーが進んで、それまでのルーチン的な作業が省力化されたときどうするのか。
これは税理士に限らず、あらゆる業界で提示される基本的なクエスチョンです。
ところが当初、私たちの業界では、そこのところは全く考えることなく突っ走りました。
専門領域のことなので、顧客の側もよくわからないまま始めはそれに従っていたのです。
しかし、算盤から電卓、電卓からコンピュータへと省力化されていったことは事実ですので、やがて、価格引き下げ競争が、こちら側(税理士側)から始まりました。
そして、サービスの向上の方へとロクに舵を切らないまま、低価格競争へと突っ込んでいき、自らあえぐような状況に陥ってしまったのです。
これが、決して顧客側からの要請で始まったわけではないことを考えれば、自ら馬鹿な墓穴を掘ったことになります。
このことは、税理士がいかにマーケティング感覚に乏しい人種だったかの証左でもあるのです。
話しが逸れてしまいました。
このことについてはまた別の機会に詳しく述べてみたいと思います。
さて、その後、鹿児島に帰り、父の事務所に入るのですが、最初に考えたのは事務所のトップとして、まずどういう方向へもって行ったらいいだろうか、ということでした。
これは、そのとき実質事務所のボスだった父にとっては想定外のことだっただろう、と思います。
父はおそらく
「自分がやって来たようにやればいいんだ。まずは、俺のやり方を覚えればいい。」
くらいにしか思っていなかったでしょう。
私も露骨に父のやり方に反抗したわけではないので、最初から激しくぶつかったということではありません。
つづく