「言葉」を様々な媒体を通じて発信する―経営者の言葉が持つ力とその使い方について考える―Ⅳ(おしまい)
さて、「弁が立つ」というのは、持って生まれた一つの才能と言えるかも知れません。
だとすれば、当意即妙に言葉を操り、その場の空気に相応しい挨拶なりスピーチができるというのは、その人が生まれながらに持っている特異性ということになります。
一方、「経営者の情報発信」は才能とは関係ありません。
誰でも努力すれば必ずできることなのです。
ただ、世の中にはそれをやろうとする人が圧倒的に少ないので、「弁が立つ」人よりももっと少数派の特別感があるのです。
ここで大切なのは、
「そんなにやる人間が少ないのは、労多くして実りが少ないからではないか。」
と、「損得」で考えないことです。
経営者の腰を据えた「情報発信」は、瞬発力のある「弁が立つ」という行為に比べ、その効果において「即効性」は少ないかも知れませんが、本質的に自社の価値を高めていく作業になります。
この価値の形成を、「損得」の判断基準で考えてはいけません。
繰り返しますが、「経営者の情報発信」はなにも「弁が立つ人」である必要はないのです。
じっくりと自社の歴史や本質に向き合い、それを真摯に発信していこうという意思のある人であれば、少々苦労はしてもそれをまとめ上げることは可能だからです。
そしてそこで紡ぎあげられた「言葉」を様々な媒体を通じて発信していけば、自社の販売促進として大きな効果が期待できることは間違いありません。
多くの経営者に「言葉」に対して及び腰になることなく、有意義な情報発信にチャレンジされることを私は望みます。
おしまい