挑戦者たちのマインドを探る―何によって彼らは突き動かされているのか― Ⅲ(おしまい)

さて、究極追及するものが、お金やマーケティングではなく、世の中に新しい価値を作っていくという彼ら。

こういうスタンスを私たちは「使命感」と呼んでいた気がしますが、それを裏付けるような発言が異色の経歴を持つもう一人の出席者、豊田剛一郎君から出ていました。

 

彼は東大の医学部出身、現役の医者からマッキンゼーに転職したという極めて珍しい経歴のベンチャー企業経営者でした。

ただ、彼の言によれば、少しずつではあるけれども、現場を離れてベンチャーに加わる医者が出てきているとのことです。

 

彼はもともと

「このままでは日本の医療は危ない。何かを変えなければ・・」

と危機感を抱いていて、マッキンゼーに飛び込んだというのです。

そんな彼に、デジタル化によって医療現場の合理化効率化に取り組むベンチャーからのオファーがあり、その誘いを受けて参画したということでした。

 

さて、その彼がベンチャーに挑戦する時の基準は次の3つなのだそうです。

・自分がやるべきだと使命感が持てるか。

自分にしかやれないことか。

ワクワクできるか。

この3つを満たした選択ができるような自分でいたいと思っている、とのことでした。

 

こうやって、ベンチャーに挑戦している若者3人の発言を聞いていますと、世の中の何かちょっとしたニーズに応えてビジネスを作っていく、というマーケティング的発想というよりは、一つの産業現場の仕組みそのものを変革させていくといったドラスティックなやり方を目指しているように見えます。

また、彼らは、そんなスタンスでなければやる気も起きないのでしょう。

 

ガツガツしてはいないけれど、のんきに構えている訳でもない。

何かしら信念に近い芯のようなものがあって、ことに当たっているように見えます。

これはおそらく東大というよりもマッキンゼーで学んだのではないかと推察します。

 

いずれにしても、こんな若者たちが出現し始めた日本の現状に、少し光を見いだした私でした。

 

 

おしまい