町内唯一の生き残りとして思うこと
―町の変遷と私が取り組んできたこと―Ⅻ

「販売促進」の他に、ここ10年間で私が明らかに他の事業所と異なる試みをした、と思うのは「女性の登用」です。

これについては、ことさら言うほどのことでもないのかな、と思っていたのですが、政府の政策を見ていても国際的な統計の数字を見ていても、この点はあまり進んでいないようです。

 

実際、周りの事業所を見ても、その傾向は見て取れます。

私がお付き合いしているかなり進んだ考えをお持ちの経営者の方でも、積極的に女性を管理職に登用しようとは考えていらっしゃらないようです。

 

女性の登用を積極的に進めよう・・そんな風に考えたのには理由があって、地方の場合、それも私が住んでいる過疎化高齢化がかなり進んでいる田舎の場合、人材の確保は極めて困難です。

特に成人男性は、働く場が少ないためにより都会の方へと流出しており、募集をしてもなかなか集まりません。

 

それに対して女性の方は、結婚、出産、子育てなどの理由によりやむを得ず田舎に留まっている比較的優秀な人材が多くいることに気付きました。

ところが、先述のように、彼女たちを登用しようという動きが極めて少ないのです。

 

そこで私は、女性を雇用した上で、その後、彼女たちが結婚、妊娠、出産、育児といった生活環境の変化を迎えたとしても、すべてOKという方針を打ち出しました。

つまり、向こうから退職を希望しない限り、雇用を継続することにしたのです。

 

もちろん、出産などに際してはときどき空白期間が生じますので、現場はやりくりに結構大変そうですが、復帰した彼女たちはまた元気に働いてくれます。

何といっても、キャリアが途中で途切れないという点が最大のメリットだと思っています。

 

つづく