父が逝った―亡くなるまでの1週間を振り返って―Ⅱ
次の朝早く母から電話があった。
父が床に萎えたようにひっくり返ったきり立てなくなったというのだ。
実はこんなことがこの数か月の間に4,5回あったのである。私はその都度すぐ、車で7,8分ほどの父の家に出かけていって、ベッドに運んだり椅子に座らせたりしていたのだ。
この日も床に横たわった父を起こしベッドに寝かしたが、いつもよりもっと身体に力が入らない。ちょっとした反応も鈍かった。
これは完全に様子がおかしいと思い、病院に連れていくことにしたのである。
この日の様子からして、おそらくこのまま入院ということも大いに考えられるので、その簡単な準備も母にしてもらった。
土曜日ではあったが幸いなことにかかりつけのお医者さんがたまたま出勤しておられた。
隣の市にあるその行きつけの病院まで車で40分くらいかかる。10時過ぎに私たちは家を後にした。
昼前に病院に着いて少し待たされた後、車いすに乗せた父をいつものお医者さんに診てもらった。
診察に際して昨夜の様子、今朝の様子、最近の状況などを説明する。
しばらく黙って聞いていたそのかかりつけのお医者さんは、私や母の話を聞き終わると、父を診察室から出すように指示された。
家内が車いすを押して診察室から出ていく。
つづく