父が逝った―亡くなるまでの1週間を振り返って―Ⅰ
今年(2017年)5月18日未明、父海江田一博が91年の生涯を閉じました。
志布志の地に、海江田税理士事務所を開業して以来、30年以上に亘り、税理士として地域に貢献してまいりましたが、最期、静かに息を引き取ることができました。
その亡くなるまでの1週間をエッセイ風にまとめてみましたので、よかったら読んでみて下さい。
母から「一緒に晩御飯を食べないか。」との電話があったのは5月12日金曜日の夜だった。
いただきもののご馳走があるけれど、二人ではとても食べきれないので一緒にどうか、という話だった。
私と家内は父の家へと出かけ、父と母の4人で食事をとることにしたのである。
その夜の父は、テーブルに向かってやや斜めの姿勢でだらんと椅子のひじ掛けに寄りかかり、背中は曲がってうつむき加減に座っていた。
「こんばんは・・来たよ。」
と声をかけても、聞こえないのかあまり反応がない。
お湯割りの焼酎と白身のお刺身が目の前に置かれている。
差し入れのご馳走にはほとんど手をつけず、焼酎を僅かとお刺身だけを口に運んでいた。
食べながら、おしゃべりの母とひとしきり話した後、時間も遅くなったので、私たち夫婦は帰ろうとしたのだが、父の様子がどうもおぼつかない。
抱えるようにして寝室まで連れて行き、着替えも手伝ってその夜は帰った。
つづく