アリエネッティから見たうちのご主人様―アリエネッティ眼鏡を戻す―Ⅲ

 

ご主人、ああ、とうとう諦めてお風呂に入りに行っちゃった。

可哀想だからお風呂に入っている間にさっき散々捜していた机の上に戻しておいてあげよう。

 

その前に、いつごろお風呂から上がるか、このボールペンに乗って偵察に行ってこよう。

お風呂はすりガラスだから中からは見えっこないからね。

お、どうやら最後のシャワーを浴びているようだからもうすぐ上がりそうだな。

 

ん!?すりガラスの向こうから一瞬こっちを見たような気がしたわ。

危ない危ない、危うく気付かれるところだった。

あるはずの眼鏡が消えてしまったんで向こうも少し敏感になっているのかも知れない。こっちも用心しなくては。

 

さ、ボールペンを戻して、と。

眼鏡も所定の位置において、と。

そろそろ、ご主人が部屋に戻ってくるはずだけど・・・・

 

あ、入ってきた。さて、どんな反応を示すかな。

ああ、やはりかなり驚いているわ。

そりゃあそうだわ。

さっき散々捜して無かった同じ場所に今度はちゃんとあるんだから。

 

 

あ、眼鏡を持ったまま出ていった。

そうか、どうやら奥さんに確かめているらしい。

お風呂に入っている間にここに置いたんじゃないの、って聞いているようだわ。

フフフ、そんなわけないのに・・

 

案の定、違うといわれたみたいだな。

大体、無くした眼鏡を捜してくれるほど優しくはないでしょう。

それでなくても奥さんは忙しいのだから。

 

つづく