アリエネッティから見たうちのご主人様―アリエネッティ眼鏡を隠す―Ⅱ

文房具に限らず、ちょっとしたものを隠したりするのがとても楽しい。

でも、あんまり度が過ぎると、人間に疑われるかも知れないので気をつけなければならないわ。

とはいっても、このところ退屈だったから、ちょっと大物を隠してみたいな。

 

と、いたずら心がうずいたところでふとご主人の机の上を見ると、眼鏡が乗っかっている。

この家のご主人は仕事から帰ると、かけていた眼鏡をはずし、自宅用の一番軽い今私の目の前にある眼鏡に取り換える。

このご自宅用眼鏡を隠したらさぞかし面白いだろうな。

 

あ、表に車の着いた音がした。ご主人のお帰りだ。

フフ、さ、この眼鏡隠してしまおう・・・・

 

ご主人が部屋に入ってきた。

服を着替えて、案の定、眼鏡も取り換えようとしている。

あ、見つからないので少し慌てている。

フフフ、可笑しいわ。

 

ああ、やっぱり部屋を出ていった。

あちこち探しているのだろうな。

見つかるわけないのに・・

お、戻ってきたわ。どうするんだろう・・? 

 

 

おや、さっき捜した机の上をもう一回注意深く見ている。

きっと、脳の働きせいで見えていないのでは?とかいう脳科学だか、心理学だかの説を確認しているのでしょうね。

そうじゃないよ。

眼鏡は私が隠したのよ。

 

人間は年をとると物忘れがひどくなって探し物が多くなる、というけれど本当は私たちの仕業なんだけどね。

 

つづく