机の上のアリエネッティ―捜し物、脳の錯覚を疑ってみる―Ⅱ

ちなみに私は、もともとの近眼に後から老眼が入ってきたので、近くを見るときは近眼用の眼鏡をはずすだけで済んでいる。

つまり、老眼鏡というものはまだ持っていないのだ。

 

それはそれでいいのだが、前述のように近くを見なければならない何かしらの事態(似たような靴下を見分けるとか、歯ブラシに歯磨き粉をつけるとか、インスタント食品のレシピを読むとか・・)が起きたとき、そこで外して置きっぱなしに忘れてしまうということが時々起こるのである。

 

ま、そんなこともあるので、眼鏡を忘れそうな心当たりのある場所をざっと探して見てみた。

クローゼット、洗面所、台所・・どこにもない。

一渡り見つけてみて、それでもないので「やっぱり机の上じゃないのか。」と再び書斎に戻って探して見る。

 

というのは、人間はモノを捜すときに、何かしら別の情報がにインプットされていると、実際はそこにあるのに見つけられない、という現象が起こったりすると聞いていたからである。

例えば、青い表紙だ、と思い込んでいた本が、実は緑だったりすると、探している本のタイトルは、初めからそこに表示されているのに、何回同じところを見直してもその本に気が付かない、などという現象が起こる、といったことは知っていた。

 

今回は、いつもかけている眼鏡である。

他のものと間違いようがない。

それでも、脳が錯覚を起こしたりしないように、しないように、と注意しながら机の上や周辺を見直してみた

やっぱりない。

 

つづく