机の上のアリエネッティ―人は自分の五感を信じて生きている―Ⅰ

 

人は普段、自分の感覚というものを信じて生きている

目に見えるものはその色や形を識別できるし、聞こえてくる音の所在を確認することもできる。

手に触れるものは実際そこにあるし、暖かかったり冷たかったりもする。

傷んだ食べ物を口にすればその味や臭いに驚き、直ちに吐き出すだろう。

 

何が言いたいかというと、我々人間は、自分の五感が間違いないものと確信して生活していなければ不自由この上ない動物なのである。

基本的には、それが正常に作動していると信じて生きているのだ。

 

しかし、想定を超えてこの五感が狂い始めたらどうだろう? 

戸惑う・・なんてレベルで済むのだろうか?!

 

先日、いつものように仕事から帰り、服を着替え、仕事用の眼鏡をしまい、自宅用の眼鏡をかけようと、書斎にある机の上のいつも置いてある場所の辺りに目をやった。

すると、眼鏡がない

 

こういうことは、これまでも時々あった。

クローゼットで服を取り出すときに細かいところを見るために、たまたま外してそこに置きっぱなしにしていたとか、洗面所に忘れていたとか、台所のレンジの上にあったとか、まあ実にいろいろである。

 

 

つづく