入れ替わり映画をマーケティング的側面から考察する―他者への理解は自らを成長させる―Ⅵ(おしまい)
さて、再び映画に話を戻すと、入れ替わった当人たちは次第に相手の立場というものがわかってくる。
女の子は女の子の、男の子は男の子の、大人は大人の立場というものがあると理解するのだ。
ビジネスで「相手の立場を理解する。」というと、何か駆け引きをうまく運ぶためのテクニックに長ける、といった意味にしか聞こえないかも知れないが、決してそんなことはない。
相手を理解しようと努めることは、自らの視野を広げることにも繋がる。
映画の入れ替わった主人公たちがそれぞれ成長するように、ビジネスにおいてもそこの想像力が働くようになれば、一段とレベルを上げることにもなるのである。
それは、相手からの信頼が厚くなり、頼りになる存在としてのポジションを築けるからである。
「ビッグ」では、主人公の少年も、大人の仕事上の駆け引きや恋愛事情などについても学ぶことになる。
そうすると、子供では及びもつかなかったような複雑な世界があることに戸惑い、そして成長するのだ。
我々は既に大人である。
相手の立場に思いを寄せて仕事上の配慮を怠りなく行なっていくことは、「入れ替わる」といったややこしい手続きを踏まなくてもできるようにならなければならないのだろう。
おしまい