入れ替わり映画をマーケティング的側面から考察する―相手がどう考えるかを想像する―Ⅴ

これらの条件を見てもわかると思うが、こちらの事情によって「値上げ」といった要請を相手にしたとしても、相手は、そのことによって自分に明らかにメリットがあるか、或いはデメリットが特にないか、といった自分の都合でしか原則応じてくれない。

 

つまり、相手のあることで何かの要望を突き付けるときには、その相手がどう考えるか、ということに思いが及ばなければ、その要望は成立しないのだ。

ことビジネスにおいては特にそうである。

 

値上というのは、どちらかといえばネガティブな事例になるが、逆の場合でも同じことである。

何か前向きの提案や要望であっても、その内容が相手にとってどれだけメリットがあるか、でしか考慮しない、と思っていた方がいい。

 

誤解があるといけないが、これは提案や要望に際して、やたらと遠慮しなければならないという意味ではない。

相手がどう思考するか、というのは極めて大事と言っているのである。

 

ここに想像力が及ばないで、勝手にこちらの都合だけ押し付けていたのでは、現代のビジネスは成立しにくいと言っているのである。

これは「売り手市場」の時代は終わり、買い手がイニシアティブを握る「買い手市場」の時代に移ったということを意味している。

 

つづく