入れ替わり映画をマーケティング的側面から考察する―買い手市場時代の理屈を考える―Ⅳ

しかし、今や世の中は完全な買い手市場である。

モノやサービスや世の中にあふれ、人々はその中から最も自分に相応しいものをチョイスすることができる。

そのための情報もまた溢れているのだ。

 

例えば、扱っている商材の原価が高騰した場合、それを売価に転嫁するのは普通に考えることである。

コストが上がったのだからやむを得ない、と理解されるだろう、と売り手の方は考える。

 

ところが、その売価をなかなか認めてくれないのが現代の経済状況であろう。

値上をしたならば確実に売上は落ちることになる。

 

おそらく値上げを打診された側はこう考えるだろう。

「そちらの原価があがったのは気の毒だとは思うが、直接は私には関係がない。

私のところだって、そちらの値上げ分を価格に転嫁することはできない。

こっちも苦しい中、我慢して商売しているんだから、そっちも我慢してほしい。」

となるのではないか。

 

今まで多くの客さんを見てきて、値上に関して認められるのは次の3つのケースだけではないかと思う。

1、販売先の業績が良くて値上げしても吸収するだけの余力を持っている。

2、今の商品に何かしらの付加価値がついて、これまでのものよりも明らかにグレードアップしている。

  つまり、売り先が値上げしても大丈夫という確信を持たせる。

3、その取引先が今後業績アップする何らかの根拠を持っている。

 

つづく