入れ替わり映画をマーケティング的側面から考察する―入れ替わりの面白さはマーケティングの基本―Ⅱ

この「立場を変えて物事を考える」というのは、振り返ってみればまさに「マーケティングの基本」と言っていいだろう。

 

「ビッグ」という映画にそれ(マーケティング)を地で行くような場面がある。

「ビッグ」は、ある朝突然、一人の少年が、子供の心と頭を持ったまま、身体だけが大人になるというストーリーである。

 

この大人少年は、ちょっといろいろあっておもちゃ会社の重役になるのだ。

そのおもちゃ会社の販売戦略会議に出席した彼は、新商品のおもちゃに対して「こんなの面白くない。」とケチをつけるのである。「子供はこんなの歓ばないよ。」と。

 

その販売戦略会議は、まさにマーケティング分析による販売計画の策定会議で

「○○地区におけるリサーチによれば、この商品に対する評価は××といった傾向があり・・・」

などとやっていると、つまらなそうに聞いていた大人少年が「こんなの面白くない。」と言い出すのである。

 

それは、そのおもちゃで遊ぶ当事者である子供の意見であり、面白くないものを面白くないというところが理にかなっている。

もっとも言われた大人たちは大いに戸惑い、マーケティング会議は紛糾するのであるが・・・・

 

そもそも、この「入れ替わりもの」というジャンルの映画は、人間に

「どんな立場の人のことも、瞬時に想像することができて、受け入れることができる。」

という能力がもともと備わっていれば成立しないことになる。

入れ替わっても大して面白くないからである。

 

つづく