入れ替わり映画をマーケティング的側面から考察する―人は入れ替わると何故面白いのか―Ⅰ

 

「君の名は」というアニメが大ヒットした。

これは男女の心と体が入れ替わるという設定のストーリーである。

この「入れ替わりもの」というテーマは、映画の世界では一つのジャンルはとして昔から存在した。

 

私がハッキリと覚えているのは日本映画の「転校生」とアメリカ映画の「ビッグ」である。

「転校生」は「君の名は」と同様、男女が入れ替わるというものである。

一方、「ビッグ」は大人と子供が入れ替わるというものである。

 

いずれも現実には起こるはずもない話なので、一種のファンタジーと言っていいだろう。

そもそも何故この手の映画が昔から作られてきたのだろうか。

 

それは、「人は、立場を変えれば、それまで気付きもしなかった実に面白い世界が見えてくる。」からにほかならない。

それでは、何故「立場を変えれば面白い世界が見えてくる」のであろうか。

 

それは前提として、「人は、実に自分の立場でしかものを考えず、またその立場に応じた行動しかとっていない。」からだろう。

だから、ある日突然全く違う立場の人間に入れ替わったら、にわかには頭と行動がついて行けない。

オタオタと慌てふためくことになり、そこがまた面白いのである。

 

また逆に、時間が経つにつれ少しずつその立場を受け入れ慣れていく。

全く違う立場だった人間が段々それっぽくなっていく、というのもまた面白さの一因かも知れない。

 

つづく