どちらの土俵でどんな相撲を取るのか―立ち位置と方法論について考える―Ⅲ
それでは一つ一つについて検証していきたいと思います。
まず、税理士が
1、自分の土俵で自分の(得意な型の)相撲を取る。
ということは、
「お客さんとの接点の中で、自分得意分野である税務会計の世界の範囲内の問題だけ、普段やり慣れている税法の解釈や会計処理の手法で済ましてしまう。」
という話になります。
原則、上記の範囲以外の話は受け付けませんので、ある意味かなり限られた領域の接点になります。
範囲は狭く感じますが、専門性は高いために初めからこういう風に決めておけば、相談を受けた範囲において、特に文句が出るということにはなりません。
そもそもが、こういう約束というお互いの了解事項でもあります。
ただ、この領域に限るということは、経営上の相談範囲としてはかなり狭くなりますので、ピンポイントで一致した案件しか相談できないことになります。
不満はないかも知れませんが、総合的に高い満足度を得られるということはないのではないでしょうか。
次に
2、自分の土俵で相手に合わせた相撲を取る。
ということになります。
これはお客さんの疑問や困りごとをできるだけこちら側の専門性に近づけて解釈し、解決を図ろうというものです。
「税法及び会計の専門的な知識で、経営に関する疑問や困りごとにやや専門性を超えた解決方法を示すこと」
といったケースになるでしょうか。
どんなご相談事も「それは税法的に解釈して・・・」とか「会計上の処理としては・・・」と自分の土俵上に何とか持ってきて接点はないものかと探る努力をします。
例えば「経費の削減」といった課題などはこの部類に入るものと考えます。
経費に関する照査といったこちらの専門性を活かしながら、相手の会社に合わせた削減策を考えることになります。
ただこれは、接点が少ししかない場合、自分の土俵に持ってくるのはかなり無理があるといえましょう。
とはいえ、限界はあるものの専門領域で何とか処理できないものかという苦心は見て取れるわけです。
つづく