ビジネス慣習、地域性との戦い ―「地縁血縁社会」をどう生きるか―Ⅱ

東京で学んだビジネス感覚と田舎に帰ってからのギャップ。

さてそこで、私がどう考えどう行動したかというと、

「仕方がない。自分も多少なりとも田舎の考え方や行動パターンに合わせなければ。」

とは全く考えませんでした。

東京で大学を卒業してサラリーマンとして勤務し、その後会社を起こして経営したとき学んだビジネス観と同じように考え行動しました。

 

そうすると、先述のようなビジネス感覚が普通の土地柄ですから、どうしても違和感が生じます。

私の身近では、父や母が先述したのと同じような地方ならではの考え方や行動パターンを取っていました。

母などは私と衝突する度に

「あんたの考え方や振る舞いは、それは東京方式だ。田舎じゃ通じない。私と同じようにしなさい。」

といった発言をぶっつけてきたのです。

母は40過ぎて帰ってきた私を教育しようと本気で考えていたようで、何回も「東京主義」とか「東京方式」という言葉で非難しました。

 

いくらそう言われても、自分のスタイルを別に「東京主義」とも「東京方式」とも考えていなかった私は大変戸惑いましたが、変える気はさらさらありませんでした。

また、先述したような明らかにビジネスマナーに反するような行動についても、相手はたいていの場合、顧客である経営者か地元の顔見知りの方だったので、「しょうがないなあ・・」と思っていても、こちらからしいて「正すように。」といった助言をすることもなかったのです。

 

ただ自分の事務所のスタッフだけには、その田舎方式のままで行かせることはしませんでした

私自身、その後も福岡や東京などの都会との往復を頻繁に行い、常に最新のビジネス情報は取り入れられる状況にしていましたので、そういった話はできるだけ伝えるようにはしていました。

また、社員に関しては、外部のマナー講師を招聘したりして、一定レベルのビジネスマナーは根付かせたつもりです。

 

つづく