ビジネス慣習、地域性との戦い ―「地縁血縁社会」をどう生きるか―Ⅰ
もう20年以上昔の話になりますが、東京から故郷である鹿児島へ戻って地方のビジネス社会に入っていったときに驚かされたことが幾つかありました。
それは、東京にいる頃、当たり前に行なっていたビジネス上の習慣が通じない場面が結構ある、ということでした。
例えば、初対面のとき名刺を交わす習慣。(「習慣」というのも変ですが・・・)
これが普通にできない経営者が結構いたのです。
私が名刺を差し出すと「あ、ああー、ええーっと。」という感じでそれから慌てて机の引き出しを探し出す人。
「持って歩いたことがないんで。」という人。
理由は様々でしたがさっと出てこない経営者が結構多いことに驚かされました。
「名刺を交換して挨拶をする習慣がないのかなあ・・??」
と、少し不思議に思ったものです。
それから、電話かけてきて名前を名乗らない方も結構いました。
「ああ、私だけど○○君いる?」・・・・
事務所のお客さんではありますが、声だけでは担当の社員でもすぐには分からない場合もあります。
ましてや、たまたま電話を取っただけの別の社員ではすぐには判断がつきません。
「俺だよ、俺!」しまいには怒りだす社長もいました。
またアポなしもごく当たり前のように行なわれていました。
突然、名前も名乗らずにズカズカ事務所に入ってくるお客さんもいて戸惑ったものです。
私がたまたま出かけようとしていたときに来られると、非常に困った思いもさせられました。
「ああ、出かけるとこだったら別にいいんだよ。」
とおっしゃっても全くむげにするわけにもいきません。
仕方なく時間をずらしたこともあります。
さて、地方に帰って驚いたこと、と書きましたが、基本的にはこの20年間でそれほど変わった訳ではありません。
名刺の件も電話の件もアポなしの件も、今でも同じようなことが日常茶飯事に行なわれています。
もちろんこれらは驚かされたうちのほんの一部の出来事で他にもいろいろありました。
つづく