「できっこない」ではできっこないⅢ

三菱重工の造船事業のようなケースでは、縦割り組織の独立性が強すぎる「自前主義」なるものを構造改革するしかないのだ。

この「自前主義」というのは、大規模製造業同士、技術の優劣のみで他社との差別化を図っていた時代の競争スタイルである。

 

そんな考え方は、広く「消費者」のニーズを汲み上げることで、商品開発やサービスが成立する時代には通用しない。

これまでやったことのない「消費者ニーズの把握とそれを商品開発に対応させる」という方法論を実現させるためには、企業のあり方、仕組みそのものを変えていかなければならないのだ。

 

そういった「仕組み」の改革を実行しなければ、永遠の下請けになるしかない。

それでは、アップル社のiPhone(アイフォーン)の部品メーカーにすぎない日本企業と同じ道をたどることになるのだ。

仕組みを作り上げていく企画力、構成力に欠けるがゆえに下請けに甘んじるしかない、というのでは何とも悔しい話ではないか。

 

これは、単に三菱重工だけの問題ではない。

先般のシャープやパナソニックの事例を見ても、日本の大企業の構造改革がいかに遅れているかを如実に示している。

優れた技術やノウハウを持ちながら、ビジネスモデルの差で敗北するというのはあまりに情けないではないか。

 

 

つづく