地方における産業構造を根本から考え直してみるⅤ
近年更にこの農畜産業に加えてもう一つ似たような構造の産業に遭遇した。
それは「林業」である。
林業は長い間、輸入材にコストの面で太刀打ちできずにいた構造不況業種であった。
しかし、近年日本の木材は輸出産業として注目され始め(特に韓国や中国での人気が高いらしい。)それに政府の林業見直しの政策的後押しも加わって、にわかに脚光を浴びてきたのである。
安定してさばけるために事業としても成立するようになってきた。
売れ残った際の在庫を抱える心配をしないで済む、という点では、この「林業」は「農畜産業」以上である。
まず、立木は山ごとの単位で購入する。
ひと山いくら、で買い取り、伐採してやはり市場に出荷するのである。
これも売れ残るということはない。
今は、曲がったり細かったりと品質の大して良くないものでもさばけるらしい。
もちろん質の良いものほど高く売れるので、林業従事者は、山を買う際の目利きが問われるのだ。
いいと思って買ったものの、質がたいして良くなかったら金にならない。
反対に質のいい山に当たったら高値で取引される。
つづく