地方における産業構造を根本から考え直してみるⅣ

そう、農畜産物は在庫を抱えるリスクがない代わりに「相場」という奴に左右されるのだ。

この「相場」という奴が厄介なのは「自分で値段を決められない。」ということである。

 

商売人は普通に販売する際に原価を割って売るということはまずしない。

損をすることは分かりきっているからである。

 

ところが、市場(いちば)で決められる「相場」という奴は、原価を切ろうがなんだろうがおかまいなしである。

生産者がそこまでかけたコストや投入した労働といったものは一切考慮されない。

 

だから、相場があまりに低いと分かっているときは、出荷のコストを負担するよりは、と時々テレビの映像で見るように、畑で野菜を潰したりするようなことが起こってしまうのだ。

 

もちろん相場には逆の現象も起こりうる。

相場が高いときには、濡れ手に粟のような儲けを手にすることもできるのだ。

 

このように、農畜産業は「売る努力」をする、という苦労がない代わりに「自分で値段を決められない」という、生産者としては何とも言えない歯痒さを押し付けられるのである。

 

 

つづく