地方における産業構造を根本から考え直してみるⅢ
農産物にしろ畜産物にしろ市場(いちば)に出された生産物はすべて捌ける。
誰かが必ず買い取ってくれるのである。
つまり、在庫として残ることはない。
売れ残った農産物や牛や豚を仕方なく持ち帰って、家で保管する、なんてことはないのだ。
原則、すべて買い取られるのだから、「売る努力」というものが存在しないのだ。
これは一般の商売からしたら極めて奇異な現象である。
一般の商売は、何がリスクがあるかといえば、「在庫が残ってしまう。」ということがあげられる。
単に売れないから売上が上がらない、というだけでなく、こうなってしまうから困ったことになるのである。
というのは、「在庫」は資産としてカウントされ、最終的に税金が課せられることになる。
即ち「黒字であっても銭(ぜに)がない。」という現象はここから起こるのである。
ここ(在庫を抱えるという)の心配をしないでいいというのは、ある意味極めて恵まれた状況と言わざるを得ないのだ。
もちろんこれには、大いなる反論があるだろう。
「なにを馬鹿な!リスクがない訳がないだろう!」と。
つづく