頭がいいとは?Ⅴ
出来事のもう1つは
「人間は能力よりもその人の持っている価値観の方がはるかに大事である。」
という勉強をしたときである。
一般に頭の良し悪しは、その人の持っている能力が高いか低いかで判断される。
したがって、生きていく上で、特に仕事においては「能力」がなによりも優先されると普通は考える。
ところが、この「思想は能力に勝る」という勉強の中では、物事に向き合うときの姿勢や考え方、価値観の方が能力よりも大事である、と教わった。
この場合の「思想」というのは、いわゆるイデオロギーのことではなく、その人の持っている価値の判断基準、ものの考え方、様々なことに向き合うときの姿勢、といったものを指す。
この点は、元京セラ会長の稲森和夫氏もその著書の中で、成功への条件は「能力×情熱×考え方」という3者の掛け算であり、中でも「考え方」が最も重要である、と述べられている。
この勉強は、それまで人生の中では、特に仕事においては「能力」が一番大事に決まっているじゃないか、と思い込んでいた私にとってはかなり衝撃的な出来事であった。
私の中にあった能力に対する考え方を大きく変えたばかりでなく、自分がこだわっていたことのレベルの低さを痛感させられたのである。
つづく