「判断基準」について改めて考えるⅢ
少し古いところでは「そごう」を率いた水島 廣雄会長のビジネスモデルが思い出される。
百貨店を建設することで、周辺の地価をあげ、その上がった地価を担保に借り入れを起こし、次の店舗を展開するというモデルは、バブルの頃まで日本中いや世界でも高く評価された。
水島会長が大学などで講義をするとなれば、世界中から聴講生が集まり広いホールに立見席まで出るほどだったという。
だが、その世界的なレベルで名経営者と言われた人も、晩年、資産隠しという罪状で逮捕され、晩節を汚してしまったのである。
つまり何が言いたいかというと、「正悪」「正誤」の判断基準は極めて難しいということである。
基本によほど高い価値観、哲学を持っていなければ、時代の変化や外的要因によって狂ってしまいかねないのだ。
昨日は正しい、とされたことでも、今日は間違っている、と言われてしまうのである。
大きな変化から小さなものまで、その変貌に日々影響され続けているのがビジネスの世界である、と言っても過言ではない。
したがって、永年の経年変化にも耐えうるビジネス上の判断基準を身につけるのは容易なことではない。
経営者は常に勉強する必要があるというのはこういう理由によるのであろう。
つづく