新卒ドライバーに見る、変革の兆し?Ⅴ(おしまい)
「うーむ、これは面白い体験をしたわい。」
私は、しばらくこのことが頭から離れなかった。
様々な場面で「変革」のムーブメントが始まっていることを感じさせる。
タクシー業界では特に彼女の会社では、その変革の必要性をリクルートの際に外に向かって訴えた。
そうすると、彼女のような若い人材がそれに呼応したのである。
女性の新卒者がタクシーの運転手を目指すなど、かつては考えられなかった現象だ。
まずはこちら側(業界の側)から発信しなければ始まらないのだ。
ここのところが極めて重要なポイントなのである。
要は、業界側が変革の必要性を切実に感じているかどうかということになる。
おぼろげながらその必要性を感じていても、大抵の業界は行動を起こそうとはしない。
守旧のベクトルが強く働くからである。
タクシー業界が取り組み始めたこの動きが本物かどうか、これから検証されて行くだろう。
彼女のような人材が本当に生かされるか見極める必要がある。
もちろん彼女の側の努力も必要である。
若者が飛びつくことなどないだろう、と思っていた業界でも、その危機感を切実に訴えて、彼らの力や知恵を歓迎する意向を示せば案外良いマッチングが成立するのかも知れない、と思った。
おしまい