したり顔の罪悪Ⅲ(おしまい)
私がはっきりと覚えているのはイチローが大リーグ行きを決めた時、元阪神タイガースのピッチャーで野球評論家だった江本孟紀氏が、テレビの取材に応じて
「そんなもん大リーグで通じる訳ないじゃないですか。あの程度の選手は向こうにはゴロゴロいるんですよ。」
と、それこそしたり顔で随分酷い言い方をしていた。
これからチャレンジしようとしている人間になにもそんな言い方しなくてもいいのに・・と、そのときは思ったものだ。
しかし、その後のイチローの活躍はご存じの通りである。通じないどころか、大リーガーが成しえなかった偉業まで達成してしまった。
江本氏はイチローに自らの不明を謝らないのだろうか。
イチローが4192本目の安打を打ってタイ・カッブ超えの記録を達成した時、アメリカの野球解説者は
「もしイチローが最初からメジャーでプレーしていたら、歴代最多安打を記録していただろう」
と語ったらしいが、これが正当な評価でありリスペクトはないのか。
日本のしたり顔の評論家より、このアメリカ人解説者の方がよほど公平ではないか。
「したり顔」というのは常に上から目線であり、結果的にネガティブな言説しか生まない。
もっと素直に日本人の業績を喜ぼうじゃないか。
おしまい