常識破りの功罪 ―会計人の業界を参考に考える―Ⅰ

 

もう7、8年昔のことになるが、私の所属している会計人のグループで、お客さんのために「経営革新支援」のテキストを作成したことがある。

北は北海道から南は鹿児島まで、10人ほどの税理士が全国から毎月東京に集合して「ああでもないこうでもない」と、1冊のテキストを作り上げるために議論を重ねたのである。

 

ほとんどのメンバーが、この時初めて税務や会計といった自分の得意分野から少し離れて、経営全般について考えなければならなかった。

何をどうしていいか、なかなか有効な糸口が見いだせず、慣れない議論に我々は何回も壁にぶち当たった

 

回を重ねてもなかなか袋小路から抜けられないでいた我々は、ある日型通りの会議を打ち切って、各人のアイディアをホワイトボードに書きなぐってみよう、ということになった。

書記役を引き受けた私は、3方の壁がホワイトボードに囲まれた会議室で、数色のカラーマーカーを目いっぱい使って、みんなの発言やアイディアをボードに書きまくったのである。

 

ここからである。

会議が大きく前進し始めたのは。

それぞれの発想や考え方を整理し、少しずつまとめていって出来上がったテキストはその年メインの教材として全国のセミナーで使用されたのである。

 

 

つづく