したり顔の罪悪Ⅱ
だが日米における野球のレベルの差はその後急速に縮まったと思う。
今ではレベルに差があるというよりも、それぞれの持つ野球に対する世界観に違いがあると言った方が当たっているのではないか。
日本の野球とアメリカのベースボールはその特性が明らかに違っている。
ただ、同じルールで競うことができるので、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のようなスポーツイベントが成り立つ。
そのWBCで日本は2度の世界一を勝ち取っているのだ。
アメリカは一級の選手を送り込んでいないからという人もいるが、二軍三軍の選手を送り込んだ訳でもあるまい。
大リーグの一定レベルの選手が参加しているはずである。
そもそも、WBCの発案者はアメリカなのだ。
その権威を認めないわけにはいかないだろう。
近年のそんな経緯を考えれば、なにもしたり顔で
「イチローの記録は本物じゃない。」
などと腐すことはないのだ。
思い出してみれば野茂がチャレンジするときもイチローがチャレンジするときも「したり顔」の評論家というのはいた。
彼らは同じような口調で
「大リーグに通じる訳がない。」
と言っていた。
つづく