鈍感力のすすめⅠ
出川哲郎というお笑い芸人だか役者だかよくわからないタレントがいる。
甲高い声で周りの空気などおかまないなく騒ぎまくるので、どちらかというと嫌われ役、滑る役目の多いタレントである。
その出川哲郎が外国で道を尋ねる番組をやっていた。
小さな子供の「初めてのお使い」によく似た趣旨の企画である。
まるで英語の出来ない出川に「どこどこまで行くように」とか「○○を買ってくるように」とい課題を与える。
そうすると彼は、ミッション達成のために委細構わず道行く人を捕まえて聞きまくるのだ。
そのときのたどたどしい英語が可笑しくて思わず笑ってしまう番組なのである。
彼なりに相手に通じるかも知れないと想定される英単語を並べるのだが、英語力が極端に低いために、聞かれた相手は出川が何をしたいのかなかなか理解できない。
普通の日本人だったら、ここでめげるか、声がだんだん小さくなるかなのだろうが、出川はそのでたらめな英語で押し通すのである。
そうすると不思議なことにそのうちに何となく相手にも通じてくるのだ。
そうやって出川は次々とミッションをクリアしていく。
つづく