失われた時を求めてⅠ

 

マルセル・プルーストという作家の作品に「失われた時を求めて」という長編小説がある。

というより、彼の作品はそれ以外には聞いたこともないし、知らない。

さらにいえば読んだわけでもない。

 

何故こんなことを書くのかというと、今、長い研修の時間を抜け出して、ホテルの眺めのいい喫茶室の片隅でこれを書いているからである。

目の前にはポットに入ったたっぷりのミルクティーがある。

これを繰り返しティーカップに注ぎながら昔のことを思い出してみた。

 

「失われた時を求めて」は、世界最長の長編小説らしい。

長編小説と言えば、同じフランスの作家であるロジェ・マルタン・デュガール「チボー家の人々」なら読んだことがある。

確か、全5巻に及ぶ極めて長い作品だった。

 

昔は、長編の文学作品もよく読んだ。

私が親しんだ中で、長編作品が多かった作家はなんといってもドストエフスキーである。

「カラマーゾフの兄弟」も「罪と罰」も「白痴」も大作であった。

 

今考えてみれば、あんな長編作品がよく読めたものだと感心する。

中身についてはほとんど覚えていないところを見ると、意味もよくわかっていなかったのかも知れない。

 

 

つづく

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