僕らのなんちゃて「スタンド・バイ・ミー」―列車は我々3人に迫ってきた―

映画「スタンド・バイ・ミー」の1シーン

「スタンド・バイ・ミー」という映画をご存じだろうか。青春映画の傑作で、少年たち4人組が、ちょっとした冒険の旅に出かけ、そこでのいろんな経験を通して成長していくという物語である。

その映画の1シーンに、線路を歩いていたら列車がやってきために、少年たちが慌てふためいて逃げ惑う、という場面がある。間一髪のところでみんな助かるのだが、結構ヒヤヒヤさせられるシーンである。

 

仲良し3人組

そういえば、これと同じようなことが俺たちにもあったなあ、とふと思い出した。あれは小学5年か6年生のときだった。私とA君、H君の3人は、何の目的だったのか、もう全く思い出せないのだが、とにかく町はずれの線路の上を歩いていた。おそらく、ほかの道を選ぶより、線路沿いに行った方が近道だったのだろう。

天気の良い休日で、仲の良かった我々は、そうやってよく一緒に遊んでいたのである。3人は、線路の上を縦一列に並んで歩いていた。

今でもそうだが、田舎の鉄道のダイヤはスカスカで、めったに列車に遭遇することなどない。我々もタカをくくって歩いていた。

 

突然現れた黒い巨体

すると突然、前方500mくらいにあったトンネルから真っ黒な蒸気機関車が不気味な姿を現したのである。鉄道ファンには「不気味も何もあるものか。その雄姿は称賛に値するのだ!」と怒られそうだが、自分たちが歩いていく先の正面に現れた黒い巨体は恐怖以外の何物でもなかった。

とはいえ、まだ距離は充分ある。ちょっとわきによければ済むことだった。しかし、線路の両脇は土手になっており、崖というほどではないが、結構な急斜面であった。ちゃんと足腰で身体を支えないと、下まで転げ落ちる心配もある。

私とA君は比較的大柄で体力もある方だったので、斜面によけて自分の身体を支えた。ところが、もう一人のH君は小柄で、もともと華奢なタイプだったためにうまくよけることができない。

 

逆さにダイブ!

そうやってモタモタしているうちに、真っ黒な蒸気機関車はいよいよ迫ってきた。運転手にも我々の姿が見えたのか、警告の汽笛を盛んに鳴らしている。

こういうときの蒸気機関車というのは、ものすごく迫力があって電車よりもはるかにおっかない。かなりの距離まで迫ってきたので、私とA君は、H君に「早くよけろよけろ。」と叫んだ。

H君は恐怖で凍り付いているかのようだった。が、列車がいよいよ10mと迫ってきたときに、ついにH君は土手の下の方に頭からダイブしたのである。私とA君は唖然として見ていた。

 

みんな無事だった

幸いにも、土手の途中には丈の低い竹藪があって、H君はそこに頭からつっこんだのである。列車が通り過ぎたあと、私とA君は逆さになって頭を竹藪に突っ込んでいるH君を助け出した。幸いにも3人には怪我もなく、無事にこのことは済んだのである。

おそらくそのあと、何やら目的の場所へ向かったのだろうけれど、そのあたりのことは全く覚えていない。

はっきりと記憶にあるのは迫りくる蒸気機関車の黒い巨体と、頭からダイブしたH君の姿だけである。

なんちゃってミニスタンド・バイ・ミーのお話でした。

 

間尺に合わないよなあ

と、この話には少し後日談がある。おそらく、この事件が起こったのは日曜日だったのだろうと思う。次の月曜日、H君は熱を出したということで学校を休んだ。列車の一件でハートをやられたというよりは、あの日一日遊んだ疲れが身体に出てしまったということだろうと思う。

担任の先生に「Hは身体が弱いんだから、お前たち(私とA君)は、もっと気を遣ってやらなきゃダメじゃないか。」と、怒られた。確かにH君は華奢で身体もあまり強い方ではなかったのだけれど、私たちと一緒に遊びたくて、いつもついてきていたのである。すごく優しい性格のいい奴だったので、私たちも拒否ることもなく一緒に遊んでいた。

こんな風に怒られるのは、なんだか間尺に合わないなあ、と思いつつ「はい、わかりました。」と返事をした。その後は、以前より少しは気を遣いながら遊んだと思う。

 

古今東西、男の子はアホな存在

そんな我々だったが、中学に進むとき、私もA君も別の学校に進んだので、ふるさとの仲良しはみんなバラバラになってしまった。

さて、そのほかにも、少年時代のトホホなんちゃってスタンド・バイ・ミー的な話は、思い出せばいくらでも出てくるような気がする。

つまり、男の子というのは、全世界的にいろいろとアホなことをやらかす存在なのかも知れないなあ、と思うのだ。

しかし、カミさんに言わせれば「あなたは、そんな話が特別多い方よ。」と、いうことになるんだろうな、きっと。

こりゃどうもアホの面影ありますかねー・・・ありますね(;´д`)

 

追記:いつも読んでいただきありがとうございます。
まあこの通り、いささかユニークな税理士です。
「こんなこと、相談しても大丈夫だろうか?」
といった、我々の専門外のお話についても、
構いませんので一度持ち込んでみてください。
普通、税理士が受けないようなご相談にも、
かなり幅広く対応いたします。
なにかしらヒントになるような
ご解答はお示しできると思います。
ご縁をいただければ幸いです。