絵の題名は「川のそばの矢車菊」―我が家にアートがやってきた―Ⅵ
散歩の途中立ち寄った画廊で出会い、一発で気にいった一枚の絵。
家に飾ってみたくなって、この途方もない衝動買いをカミさんに相談したところ、
「いいんじゃないの、気に入ったんなら。」
の返事に拍子抜けした私。
翌日、件の絵をカミさんと一緒に観に行くことになった。
「この絵なんだけど。」
とカミさんと娘に案内する。
「あら、きれいな絵じゃない。抽象画なのね。」
そうなのだ。
私は、その色彩に魅了されたのだが、いかんせん抽象画なので、何を表現しているのかよくわからない。
ま、抽象画なのだからそれでいいのかも知れないが。
ちなみに昨日聞いた話では、絵の題名は「川のそばの矢車菊」というものであった。
私はてっきりきれいなブルーが川を表しているのだろうと思ったが、ブルーは矢車菊で、川はベージュのような色で表現されていた。
抽象画というのはわからないものだ。
この美しいブルーが、その南アフリカに咲く「矢車菊」とやらを表しているのだとしたら本物の花を見てみたいものだと思った。
画廊には、昨日の女主人はいなくて、店を任されているらしい中年の女性が一人いた。
彼女も昨日のことは覚えていて、
「いかがですか。奥様にも気に入っていただけましたかしら。」
と話しかけてきた。
「カミさんもおおむねOKなんですが、もっとよく観てみたくって・・」
と伝えると、
「そうですか。それでは廊下のライティングでは不十分ですので、中のちゃんとした照明の下で観てみましょう。」
と、言う話になった。
そこで、廊下に展示されていた件の絵をいったんはずして、ギャラリーの中に飾ってあった絵の位置と交換することになった。
『なんか、えれーことになったな・・・』
と思いながらも絵の付け外しを手伝う。
初めに飾られていた絵をはずすとき、彼女が
「こちらの絵は1千万クラスですのよ。」
と教えてくれた。
『ひぇーっ、スーパーが入っている同じビルの中にそんな高価なものが売られているんだ!』
と、今さらながら土地柄の違いに驚かされる。
そうやって、移動し終えて改めて件の絵を観てみると、ちゃんとしたライティングの下では、ブルーの色遣いが一層際立って見える。
『やっぱりいいな・・・』
と、心の中で思う。
カミさんも
「いい絵なんじゃない。すごくきれいだし。」
と気に入ってくれたようだ。
ということで、購入の契約を済ませ、後日、絵画専門の運送業者に送ってもらうことになった。
こうやって、私がこれまで生きてきた中で最大の衝動買いは決着したのである。
この絵でございます。夜なのでちょっと暗い。
昼間だと
こんな感じ。隣の絵は印刷物。
つづく