仕事はあるけど人がいない・・・―情報発信力が人材の確保を決定する時代―Ⅰ

地方で事業を行なっていますと、今現在、最も深刻な問題は「人がいない」ということに尽きつつあります。平成の日本経済が本当に低迷していた一時期に比べて、量的な仕事そのものは戻りつつあるのですが、「仕事はあるけど人がいない。」という状況が、どの業種、どの業界においても常態化してきているのです。

働き手である若者は一体どこへ行ったのでしょうか。人手不足は都会も田舎も変わらないわけですから、より収入が大きく仕事も面白そうな都会の方へと若者が流れていくのは必然のような気がします。また、少子高齢化で若者の絶対数が少ないというのも大きな要因といえるでしょう。

その詳細な現状を分析するのはまた別の機会に譲るとして、とにかく喫緊の課題としては、わが社の人材を確保しなければなりません。絶対数が限られている若い働き手を確保するにはいったいどうしたらいいのでしょうか。

 

話はちょっとそれますが、私は地方企業の大きな課題は「販売促進力の不足」だと思っていましたし、そう言い続けてもきました。つまり、広告宣伝や情報発信(アウトプット)」といった、自らの事業や商材を外に向かってアピールする力が著しく不足していると感じていたのです。

この現状は別に今でも変わりません。地方企業における販売促進力に対する意識の欠如とノウハウのなさ、取り組み不足は相変わらず大きな課題です。

しかし、上記のように、近年その前にまずは「人を確保しなければ事業が立ちいかなくなる」という事態の方が切実になってきたのです。こちらの課題の方がより緊急を要します。

 

現在、この「人の確保」の問題に関しては、その「募集方法論」において様々な手法、ノウハウといったものが喧伝されています。ネット社会になってその方法論が多様化してきたことも事実です。

従来、職安(現在のハローワーク)に頼っていたものが、今では様々な媒体、業者などによって行なわれるようになってきました。ネット媒体などを通じたこれらの手法をよく理解し駆使するというのも大事なことですが、おそらく、地方の中小企業における人手不足の問題はそれだけでは解決しそうにありません。

というのは、上記の販売促進力不足のところで述べましたように、企業情報の発信が決定的に不足しているために、応募のしようがないのです。それは次のような諸項目においてはっきりしています。

例えば、給与、勤務時間のほかに休日といった福利厚生などの条件面もわからなければ、詳しい業務内容、専門性の有無といったことも伝わっていません。さらに、若い応募希望者にとって気になるのは企業風土、社会貢献度といったこともあるのではないでしょうか。

 

さてそうなると、情報発信力が弱いというのは、企業にとって決定的な弱点となります。逆に言えば、それをきちんとやることで、期せずして他社との差別化を図ることができているということにもなるのです。

つまり、会社の外側にいる顧客を意識した広告宣伝や情報発信といった販売促進系の活動だけではなく、組織の内側に取り込むためのリクルートを前提とした「情報発信(アウトプット)」という試みが大事になってくるということです。

もちろん、どちらも大切なのですが、とにかく普段からリクルートを意識した「情報発信(アウトプット)」を心がけていなければ、これからの人材確保はままならないことになります。

スマートフォンを操作する男性

情報入手はいつでもどこでも・・

 

つづく