前のめりに自社の存在を外に示していくのは当たり前の話―情報発信力が人材の確保を決定する時代―Ⅱ(おしまい)

人材確保を可能にするための条件を突き詰めれば、次の2点に絞られると思います。

それは、企業風土や専門性、福利厚生、給与水準などの組織内の諸条件が整っているか、ということと、それをインフォメーションする仕組みがきちんと機能するようになっているか、という2点です。

リクルートに関しては、とかく後者の募集方法論だけに話題が集中しがちですが、そもそも組織内の諸条件が外に向かってアピールするに足る中身でなければ、選ばれる対象にはなりません。

とはいえ、ここに関しては「田舎の中小企業に、そんなにいい条件を示すだけの力はないよ。」という声が聞こえてきそうです。なるほどそこは、小さな組織の場合、仕方のない点が多々あることは確かです。

まずは正直に自社の事情を明らかにするしかなさそうです。

福利厚生面や給与水準などは現状をオープンにするしかありません。これらは募集要項の中で、うそをつくことはできませんので、そこから始めるしかないのです。

 

ただ、どんな専門領域を得意とするどんなタイプの会社であるか、ということは上記のような確定した条件とは別に示すことができるはずです。ここは、わが社に対する「思い入れ」の部分ですから、多少主観的な表明があってもいいと思います。

そうすると

「うちは特に特徴などないよ。ただ昔からこの仕事を淡々とやっているだけだよ。」

という答えが返ってきそうです。

そこで考えていただきたいのは、本当になにも特徴などないのか?ということです。

特徴とか独自性というのは、自分ではあまり気がつかないことが多いものです。

わかりにくければ「こだわり」という言葉を使っても構いません。ほかの同業者よりも明らかにこだわっている部分、気を遣っている部分というのはちゃんと見直せばそれなりにあるはずです。

普段、自分の仕事に対してそんな「振り返り方」をする機会がないので、気がつかないだけなのです。こういったところをまず固めて発信することです。そこのベースを作らなければ何ごとも始まらないのです。

 

さて、そうやって発信を始めれば、世間からどんな反応があるのかある程度掴めるようになります。そこにおける「世間的な評価」は、リクルートにおける反応の良し悪しの目安にもなるのです。

これを知ることで、自社の企業風土に問題があるとすれば、それをより良いものに修正していかなければなりません。

そうやって、自己修正を行ない、自身の成長発展に資するためにも、まずはこちらからの「情報発信(アウトプット)」が重要な取り組みになるのです。

 

中小企業、特にそれが地方の場合、これまで主に近親者の紹介或いはハローワーク(旧職業安定所)などに頼っていたのではないでしょうか。しかし、これからはインターネットなどデジタル媒体を通じた募集方法も取り入れていく必要があります。

その場合も、自社による情報の開示がなければ、相手は判断のしようがないのです。

そういう意味でも最低HP(ホームページ)を持っていなければお話にならないといえましょう。

さらに持っているだけではなく、そこで継続的な「情報発信(アウトプット)」が行なわれていることが必要条件となります。

そういった情報開示によって、初めて応募者はリクルートに応じるかどうかの判断ができるのです。

 

事業を続けている限り、自社の存在を外に示していくというのは当たり前のことです。

にもかからず、日本の特に地方の場合、地縁血縁に頼る商売が長い間成立してきたため、わざわざ自社をアピールすることなど取り組んできませんでした。

しかし、それではこれからの世の中、立ち行くはずがありません。

第3者から見ても魅力的な企業風土を整え、それをアピールすることで人材を確保し事業を発展継続していく必要があるのです。

例え、企業風土の整備がまだまだだったとしても「情報発信(アウトプット)」を先に行なうことで、自らを追い込むこともできます。

そうやってアクションを起こさないことには何も始まりません

ここに関する試みに、少しでも早く取り掛かられることを希望します。

質問を受ける弁護士

アクションを起こしましょう。

おしまい