「構造不況業種」ではないのか?!?―事業の継続性について考える・・ゴーイングコンサーンを実現できるか?―Ⅲ

この業界(職業会計人)に入ったとき、先輩から聞いたのは

「税理士事務所の事業承継は難しくて、なかなか3代は続かないよ。」

ということでした。

自分も2代目税理士としてこの業界に入って、周りをよく俯瞰して見ると、なるほどそうなんだと感じたのです。

 

それが原因で、そこで働く従業員も長期で仕事を続けるモチベーションを持つことができません。

将来にあまり展望が持てないるのがこの業界なんだ、と感じました。

 

その要因は次のようなものでした。

・税理士事務所は小規模な上、資格試験のハードルが高いので、何世代にもわたって承継していくことが難しい。(向き不向きがはっきりした専門職でもある)

・「顧問契約を結んだ顧客の集積」という無形の事業資産は、有形の資産である不動産などと違って引継ぎが簡単ではない。(2代目とはそりが合わないなど)

・小規模な事業体である税理士事務所に対しては、従業員も長期的な展望を持てない。(だから退職、転職が多い)

・そもそも、独立を志向している職員にとって、所属事務所の存続、継続は興味の埒外のことである。(その結果、顧客収奪などのトラブルが多い)

 

さて、こういった業界のあり方を知った私はどう思ったか、ということです。

 

私は、まず「これじゃいかんな!」と思いました。

上記のような問題が解決できなければ、私にとってこの業界はあまり魅力的ではないな、と思ったのです。

 

とはいえ、この業界を俯瞰してきた私は、最初大学を出たての頃の職員の立場から数十年を経て、所長という経営者側に回っても、さして事情は変わっていない、ということに気が付きました。

それどころか業界を取り巻くビジネス環境はますます厳しいものになっています。

 

というのは、税理士資格取得者は毎年微増しているにもかかわらず、顧客企業である日本の中小企業はものすごい勢いでその数を減らしているからです。

もはやこの業界は「構造不況業種」といっても差し支えありません。

 

そういった事情に若い世代は敏感に反応しているようで、現在、税理士資格受験者数は年々減少傾向にあるのです。

そうなってくると、私が感じた上記のような課題は、ますます根本的にその解決策を探っていかなければ、この先生き残っていけないのではないか、ということになります。

 

バトンタッチが難しい職業?!?

つづく