「スタイル」を確立したらまた・・・―ファッション雑感シリーズ2「着道楽」?楽しく、面白く生きるのが、私の人生の目標(by石津謙介)―Ⅶ(おしまい)

さてここまで「着るのが好き」に帰結するプロセスとして、「見るのが好き」「買うのが好き」「持つのが好き」といったステップを踏むのではないか、と分析してきた。

「見るのが好き」に留まっていればまだいいが、「買うのが好き」「持つのが好き」となると、他のバイアスがかかってくる。


ついつい余計なものを買って出費が負担になってくる、モノが増えすぎて始末に困る・・といった、単なる「服好き」では済まない現象が伴なってくるのだ。

その要因として、「流行が気になる」「トレンドを追っかけてしまう」ということが考えられる。


そこに巻き込まれないためにも

「男はファッションではなく、自分のスタイルを確立すべし」

という教えというか格言が生きてくるのだ。

私は、その基礎作りのために、昔から存在する「定番」といわれる逸品を身の回りに配してはどうか、と考えた。


「着るのが好き」はいいけれど、そのコアの部分にド定番を据え置くことで自らのスタイルを確立していこうと思っているのだ。

そうやって自らのスタイルを形成しながら「着るのが好き」の欲求をコントロールしていくのである。


まあとはいえ、そもそも私は典型的な「着るのが好き」タイプなのだろうと思う。

というのは、普通、ちょっといい物など買ったら、きちんとラップなどしてもらい、家に持って帰り、眺めて楽しんだりしているうちに、いよいよその出番が「ここぞ!」というときになるのではないだろうか。


しかし私は、買ったらその場で着て帰りたいくらいなのである。

包んでもらうのもめんどくさい、と思うのだ。


実際、着てきた服をショッピングバッグに突っ込んで、買った服を着て店をあとにすることもある。

買ったらすぐ着たくなる、着てみないことには気がすまない性質(たち)なのである。


これまでの人生、最高額の革のコートを買ったときも、そのまま羽織って仲間の待つ飲み屋に直行したくらいだ。

彼らは、それまで一緒に飲んでいた私がそのコートを買いに行ったことを知っていたので、羽織った姿で引っ返してきた私を迎えてやんややんやの大騒ぎとなった。

シンプルな作りの定番レザーコート


そのレザーコートも完全な「定番」である。

死ぬまでに、とにかくいろんな場面で着倒したいな、ともくろんでいる。

その翌年、ようやく手に入れたダッフルコートも、長年探し続けた私の中のド定番である。

こいつもこの先ずっと愛用したいと思っているのだ。

長く付き合っていきそうなダッフルコート


「着道楽」について書き始めたらキリがないので、今回はこれくらいにしておこう。

「定番」をちょっとずつそろえていって、それなりの「スタイル」が確立したならばまたご報告しようと思う。

 

 

おしまい