映画に学ぶ着こなし―ファッション雑感シリーズ2「着道楽」?楽しく、面白く生きるのが、私の人生の目標(by石津謙介)―Ⅲ

【着るのが好き?見るのが好き?】3

「着道楽」を「見るのが好き」「買うのが好き」「持つのが好き」「着るのが好き」といったように分類したとしても、「持つのが好き」の中には、ほんとうの意味での「服好き」とは少し異なる場合があるようである。

「買い物依存症」とごっちゃになるケースもあるのではないだろうか。

 

また「見るのが好き」と「着るのが好き」の間には、若干の隙間があるのだ。

実際、着てみたら、イメージしていたほど素敵でもカッコよくもなかった、というのはよくある話である。

 

映画などはその最たるものだろう。

スクリーンの中のアラン・ドロンマルチェロ・マストロヤンニ(どっちもちょっと古いな・・)がいかにカッコよくても、彼らと同じになれるとは限らない。(いや、ほとんど無理である。)

 

アラン・ドロンの若い頃の名作に「サムライ」という映画がある。

あの映画の主人公である、クールな殺し屋のトレンチコートの着こなしに憧れて、同様のコートを購入した男性は多かったのではないだろうか。

しかし残念ながらアラン・ドロンになれた日本人男性は皆無だったことだろう。

とはいえ、映画の中の着こなしや仕草といったものは、大いに参考になる

そりゃあ、最高のデザイナーやスタイリストがついて、最もふさわしい映像を創り上げるわけだから参考にならないはずがない。

 

まあ、若いうちは、似たような格好をして、彼らのような気分に浸るのも悪くないと思う。

そうやって、真似をしているうちに、それなりのスタイルが身につくかも知れないではないか。

 

そういう意味では、「着道楽」の中では「見るのが好き」と「着るのが好き」はわりと素直にシンクロしていて、「服好き」の生態をそのまま表している。

しかし、先述のように、「持つのが好き」と「買うのが好き」の場合、そのまま「服好き」とストレートには認められないケースもあるのだ。

 

ちなみに「見るのが好き」には、室内で紙面や映像といった2次元の世界を見るのと、外に出てショーウィンドウや街行く人物といった3次元の世界を見るという2つのパターンがある。

「服好き」の場合、そのいずれも楽しめる、ということなのだろう。

久しぶりにトレンチを着てみました。

つづく