「情報発信(アウトプット)」は極めて有利な「先行投資」―社長が意識すべきは、時代に先んじる「読み」と「決断」―Ⅴ(おしまい)
「経費」の中には、リアルタイムで消費される「消耗品費」や「旅費交通費」のような「即時消費型経費」と、すぐには事業遂行に影響しない「広告宣伝費」や「接待交際費」のような「先行投資型経費」があります。
性格の異なるこの二つの経費。
事業業績が思わしくなくなったとき、真っ先に削減されるのは決まって後者の「先行投資型経費」でした。
しかし、このワンパターンの致命的な欠点は、「先行投資型経費」に含まれる「企業価値の創出」といった重要な役割を軽んじていたのではないか、ということです。
企業経営にとって必須事項である「先行投資」という考え方が、上記のパターンからは欠如しているのです。
企業経営において、常に「先行投資」を意識しておくべきなのは、そのときの業績の良し悪しには関係ありません。
経営者の最も重要な使命といえましょう。
とはいえ、「先行投資」には、お金がかかることも事実です。
なおかつ「投資」ですから、企業会計上控除することはできません。
つまり、課税の対象から除くことはできないのです。
ところが、その中で「広告宣伝費」など販売促進関係の「先行投資」は、「経費」として法律(税法)が認めてくれています。
経営者にとって、これは非常にありがたいことと言えるのではないでしょうか。
「投資」が「経費」になるというこの事実を、中小企業経営者はもっと大事にすべきなのではないか、と私は思います。
そして、この「先行投資型経費」に対するこれまでの考え方を改めるべきです。
そもそも、企業経営において「先行投資」に対する「読み」と「決断」がなければ真っ当な経営者とは言えません。
おそらく、そのことを常に意識していて、様々な先手を打った経営者が成功を手にしているのではないでしょうか。
私がいつもお勧めしている「情報発信(アウトプット)」もまさにその「先行投資」に当たります。
この「情報発信(アウトプット)」は、大した費用はかかりませんが、大きな意味では「先行投資」ということになるのです。
しかも、仮にかかったとしても、それは「経費」として会計上落とすことが認められているのです。
こんな有利な「先行投資」を、黙って見過ごす手はないと思うのですが、取り組んでいる経営者はまだ少数派です。
事業業績の見直しにあたっては、いきなり、「経費削減」ではなく、「即時消費型経費」と「先行投資型経費」の性格を冷静に判断した上で、自社の成長にとってどうすることが一番ふさわしいのか考えていただきたいと思います。
ビジネスのあらゆる場面で検討すべき先見的「先行投資」
おしまい