大人な気分、ロイヤルオックスフォード―「着道楽」?楽しく、面白く生きるのが、私の人生の目標(by石津謙介)各アイテム編―Ⅱ

【ボタンダウンシャツ編】2

ブルーのBDシャツ

さて、BDシャツはすでにかなりの数持っている。

私にとっての「究極のBDシャツ」といえば、生地はブルーのロイヤルオックスフォード、襟のロールが絶妙のカーブを描くもの、ということになるのである。

この程度のシンプルな条件のものなら、世の中にいくらでもありそうだが、まだ「究極のそれ」に出会ったことはない。

 

BDシャツの場合、ブロードのような繊細な生地よりも、オックスフォードのようなややざっくりとした織りの生地の方が相性がいい。

ただ、そうするとどうしても、スポーティーでカジュアルな印象が強くなる。

 

それを、再びグッとあらたまった大人な感じに引き戻してくれるのが、高級なロイヤルオックスフォードなのだ。

そのなんとも言えない絶妙さがロイヤルオックスフォードの特徴であり味である、と私は思っている。

 

あるとき、なんでこんなにブルーのロイヤルオックスフォードBDシャツが好きなんだろう?と考えてみた。

そうすると思い出したことがある。

 

大学を出て、新宿の公認会計士事務所に勤め始めた頃、良質のBDシャツが1枚欲しくなった。

40年以上昔のことなので、世の中にまだそんなに質の良いBDシャツは出回っていなかった。

 

今みたいにインターネットなどない時代なので、おそらく雑誌かなんかの情報だったのだろうと思う。

くろすとしゆき氏というIVYファッションの神様みたいな人のショップが、六本木に近い飯倉片町にあることを知った。

 

モノはいいらしいが、どう考えても当時の安月給にはかなり高根の花に思われた。

しかし、あるとき決心して、仕事の途中にもかかわらず、六本木で地下鉄を降りてそのショップ「クロス&サイモン」へと向かったのである。

 

その小さな店には、おそらくトラッド系のいろいろな衣類が置いてあったはずである。

しかし、もう細かいことは思い出せない。

店にいた男性に、BDシャツを買いに来たことを告げると、1枚のシャツを目の前に出してくれた。

 

それが、ブルーのロイヤルオックスフォードのBDシャツだったのである。

その美しい光沢は、それまで持っていたBDシャツとは、一段格が違うなんだかとてつもない高級品に見えた。

 

たしか、値段は8000円くらいだったと思う。

なにせ40年以上昔のことである。

当時の普通のシャツよりはかなり高く、私の給料から見れば大きな出費だった。

 

おそらく、そのときの強烈な記憶が、私の中のブルーのロイヤルオックスフォードBDシャツの原点になっているのだろう。

あのクオリティーに近いイメージのものをいまだに探し続けているのかも知れない。

 

その後、「これは近いかも・・」と思った商品には、何回か出会ったが、いずれも「究極のそれ」とはいかなかった。

今も、一枚、ネットショップでオーダーしている。「今度こそ!」と、思っているがどうなるかわからない。

 

孫との1枚。

これはオックスフォードではなくて

ダンガリーのBDシャツですな。

つづく