時代に逆らわないという当たり前の姿勢―様々な事務所経営方針を聞いてきて思うこと―Ⅴ(おしまい)
これといった経営理念とか確固たる方向性とかもないまま続けてきた私の事務所経営。
こんなんでいいのか!?!と迷いつつきたものの、事務所の業績そのものは落とすことなくここまで来た。
そんな私が常に心掛けてきたのは
「時代に逆らっても仕方がない。時代の流れを着実にキャッチして、その流れから大きく外れることがないように自らのビジネスを組み立てていくこと。」
ではなかったか、と今では思う。
この方針というか主義は、クライアントである顧問先の経営者の方々にも、その都度説明し、そうなさるように進めてきた。
というのは、あまりにも時代の流れから取り残されたような考えや経営思考の経営者が多かったからである。
分かりやすいところでは、テクノロジーに関する姿勢や取り組みということがある。
こういったはっきりと目に見えて、ビジネスの現場を革新させ効率化させていくものは理解しやすい・・・と思ったのだが、意外にこれに対する抵抗は大きかった。
様々な理屈をつけて、なかなか取り入れようとなさらないのである。
しかし、必然的な時代の流れともいうべき、テクノロジーの発達に対して抵抗を試みたところで、ほとんど意味がないばかりか、大きく後れをとることになりかねないのだ。
で、実際そうなっている。
『時代に逆らわない。』というのは、特別な経営理念でもなんでもない。
当たり前に取り組むべき、経営上の姿勢のようなものだと思う。
さて、話がかなり逸れてしまった。
自らの経営理念や哲学といったものを語る人は多い。
そういった一本筋の通った話を聞いて、どうもなかなかそうはいかない私は、長い間コンプレックスのようなものを抱いてきた。
しかしどうも、そういったアプローチを繰り返していても、私があんまり変わることはなさそうだ。
いちいち、コンプレックスなど抱かずに、「なるほど大したものだ。」と聞き流せばいい、と考えるようになった。
聞き流す、という言い方は失礼なようだが、否定するということではない。
人間、自分に合った生き方しかできない、ということである。
私は『時代の流れ』というものをウオッチングするが好きだし、それに自分を合わせていくのも面白い、と感じている。
そのこと自体、ビジネスとの相性も悪くなさそうである。
しっかりと他人に語れるような主義でもなんでもないが、当面、これで行こうと思っているのである。
みんなの智恵で事務所は廻る。
おしまい