時代の流れはおおよそ予想がつく―様々な事務所経営方針を聞いてきて思うこと―Ⅳ

これまで、一本筋の通った素晴らしい経営方針や考え方や手法などの講演やセミナーなどを聞くたびに、ずっとコンプレックスを抱いてきた私。

そんな話を聞いても、根が真面目とはいえないので、とても実践は至らない。と、そのことがコンプレックスだった。

 

また、事務所経営にちょっとでも躓くと、ああいう立派な経営ができていないからこんな羽目になったんだ、とさらにコンプレックスの上乗せをする。

つまり、コンプレックスの再生産をしているようなものだったのだ。

 

しかし、あるとき自分がやってきた事務所経営を振り返ってみたら、そんなに大きな失敗もしていないじゃないかと、気がついた。

それどころか、業績は微増とはいえ、右肩上がりで伸びている。

 

そんな私の経営方針は、

「常に時代に合わせていくこと。時代の流れを見て、必ずそれにフォーカスしてその流れから外れないように常に微調整を繰り返し、変化していくこと。」

であった。

 

1本筋の通った経営方針、理念経営の持ち主からすれば、随分フラフラとした当てにならない考え方のように見えるかも知れない。

しかし、強いて思い出してみれば、そんな方針でここまで来たのである。

 

時代の求めるもの、時代のニーズなどというと、随分曖昧模糊とした基準だな、と思われるかも知れない。

しかし、時代の変化を見ていると、その流れがどこへ向かっているのか、というのはだいたい予想がつく

 

逆に、そういった現象をウォッチングしているにもかかわらず、それが全く見えないというのは、よほどその手のセンスがないか、本当はちゃんと見ていないということになる。

 

時代の流れの中でも、もっとハッキリと見えるのはテクノロジーの発達である。

技術革新というのは、ほとんど可視化できる世界なので、あれこれ言う必要がない。

ほぼ確実に速くなったり、作業が楽になったり、正確性が増したり、という結果が如実に示される。

 

私が不思議なのは、こういったテクノロジーの発達に、結構抵抗を示す経営者がいるということである。

「便利過ぎると人間がダメになる。」とか「融通が利かない。」とか「安全性(セキュリティ)に問題がある」とか「(人間に比べて)費用が高い。」とか、いろいろな理屈をつけて、取り入れようとしないのだ。

 

            パソコンは必要不可欠な最大の武器。

つづく