常に時代に合わせているんだよ―様々な事務所経営方針を聞いてきて思うこと―Ⅲ

自分の事務所経営にそれほど自信があったわけではない私。

立派な経営の話を聞くたびに、コンプレックスを抱いていた。

 

しかし、長年そんな思いを抱いてきた私が、あるときふと気がついた。

自分がやってきた事務所経営を振り返ったとき、いろいろとあったものの、そんなに大きな失敗もしていないじゃないかと。

 

それどころか、ピーク時の半分以下にまで人口が落ち込んだ田舎にあって、売上も雇用も2倍にまで伸ばしてきているじゃないか、と気がついたのである。

かつての商売が軒並み落ち込み、スカスカになった町の中で、自分のビジネスは何とか伸ばしてきていたことに気づかされたのだ。

 

何故そんなことになったのだろう、と考えてみた。

これまで講演や研修などで聞いてきた、立派な経営方針や考え方や手法などなかったし、実践もしてこなかった私が、現在のような実績を手にできているのは何故だろう、と考えてみたのである。

 

この点は、現在一緒に税理士法人を運営しているパートナー税理士にも聞かれたことがある。

極めて真面目な女性税理士である彼女は、ときどきテキトーで行き当たりばったりに見える、私の経営姿勢がどうにもわからなくなるらしく、

「代表はいったいどうしたいんですか?どんな風に考えて、事務所を経営しているんですか?」

と、問い詰められたことが何回かあった。

 

それに対して

常に時代に合わせているんだよ。時代に合わないビジネスのやり方をしても、受け入れられるはずがない。だから、時代の流れを見て、必ずそれにフォーカスしてその流れから外れないように常に微調整しているんだ。」

と答えてきた。

 

何度か、同じようなやりとりをしたことがあるが、上記のような私の答えでは納得がいかないらしく、

「そんなの私にはわかりません。だいたい、『時代の流れ』って何ですか?!?」

とまあ、大抵怒られるのだ。

 

それはまあ無理のないところもあって、足元の実務をきちんとこなすことに長けている彼女は、不確定要素だらけの未来に向かって

「そこ(時代の流れ)を常に読みながら経営しているんだよ。」

という私のセリフが、いかにもとんちんかんに聞こえるらしいのである。

 

社員が自主的にミーティング

つづく